子宮内膜

難治性不妊症に対する 鍼灸治療の検討(第1報)
子宮内膜形状不良患者に高度生殖医療と鍼灸治療を併用した57症例

明生鍼灸院  院長 鈴木裕明
高橋順子
小林美鈴

おち夢クリニック名古屋 院長
越知正憲

はじめに
難治性不妊症
(結婚5年、不妊専門医療機関にて2年治療)

さらに進んだ高度生殖医療
(Assisted Reproductive Technology  以下ART
体外受精-胚移植(IVF-ET)、顕微授精(ICSI)、
凍結融解胚移植などの対象となる
しかし、
ARTの妊娠率 = 30%前後
対 象

1)ARTを3回以上繰り返し経験
2)竹内病院トヨタ不妊センターにて子宮内膜形状不良と診断
3)凍結融解胚移植目的のホルモン補充周期での子宮内膜調整法
を2回以上経験
4)子宮内膜形状が凍結融解胚移植における一定の基準
( 6㎜以上3層構造)を満たさない
平成9年10月から平成13年10月までの4年間に
明生鍼灸院に来院した難治性不妊症患者57名を対象とした

初診時の年齢 : 27~47歳(平均 34.7歳)
初診時の不妊歴 : 5~19年(平均 5.6年)
初診時の治療歴 : 3~18年(平均 4.2年)
ART治療回数 : 3~27回(平均 5.8回)
方 法
治療>本治法: 肺虚肝実証 = 太淵、太白に補法、太衝に瀉法
= 復溜、支正に補法
脾虚肝実証 = 太白、大陵に補法、太衝に瀉法
肝 虚 証 = 曲泉、陰谷に補法
腎 虚 証 = 復溜、経渠に補法
標治法: 明生鍼灸院における不妊症基本穴
(関元、中極、大赫、血海、三陰交、腎兪、次髎)
+
対症療法的選穴
手 技: 単刺術
用 鍼: 30㎜16号銀製ディスポ鍼
30㎜14号、18号ステンレス製ディスポ鍼
治療頻度・回数 : 週2回で3ヶ月以上(合計21回以上)
経膣超音波による子宮内膜画像
鍼灸治療前3層構造 5㎜
鍼灸治療3ヶ月後1層構造 9㎜
鍼灸治療6ヶ月後3層構造 8㎜
鍼灸治療における
子宮内膜形状改善結果
改 善 率
改善群31人(54.4%)

非改善群26人(45.6%)
子宮内膜形状改善群の
妊娠率
妊 娠 率
妊娠群14人(45.1%)

非妊娠群17人(54.8%)
難治性不妊に対する鍼灸治療の検討
(第4報)
子宮内膜形状不良患者に高度生殖医療と
鍼灸治療を併用した57症例の追試

明生鍼灸院
林美鈴 高橋順子 鈴木裕明

おち夢クリニック名古屋 院長
越知正憲

対象
第1報の対象患者57症例
  1. ART を3 周期以上経験
  2. 竹内病院トヨタ不妊センターを受診し、子宮内膜形状不良と診断
  3. ホルモン補充周期を用いた子宮内膜調整法によるART を2周期以上繰り返す 
  4. 子宮内膜形状が凍結融解胚移植における一定の基準(6以上、3層構造)に至らないために胚移植できない難治性不妊患者

鍼灸治療とART を併用した1周期目の結果 → 妊娠群14症例
今回の対象者
非妊娠群43症例
ART 1 周期目の子宮内膜形状
・改善群17症例
・非改善群26症例
初診時の年齢:35.3±4.3歳
不妊歴:7.7±3.8年
不妊治療歴:5.7±2.9年
ART周期:5.6±3.2周期
(平均±S.D.)
調査項目

1) ART 2周期目、3周期目における子宮内膜形状改善率および妊娠率
2) ART周期を重ねた際の累積妊娠率 
3) 難治性不妊患者57症例のART 3周期終了後の動向

1) 各周期の子宮内膜形状改善率 ・ 妊娠率

2) 鍼灸治療併用によるART累積妊娠率


鍼灸治療を併用しART3周期終了までに妊娠に至った24症例

3) ART 3周期終了後の患者の動向